窒素肥料6割減でも多収の「BNI強化コムギ」。

窒素施肥量を1haあたり250kgから100kgへ6割減らしても親品種より収量が多く、タンパク質含量と製パン特性に差がない事を応用したコムギ「BNI強化コムギ」の開発に成功。

土壌に施肥された窒素肥料は土壌細菌により硝化(アンモニウムが硝酸態窒素になる反応)され、その過半が作物に利用されずに農地から流出する。流出した硝酸態窒素は地下水の汚染や富栄養化を引き起こす。また、アンモニウムが硝化する際には、二酸化炭素の298倍もの温室効果がある亜酸化窒素を生む。
窒素汚染防止と食料増産を両立するために研究されているのが「BNI(Biological Nitrification Inhibition:作物自身が根から物質を分泌して硝化を抑制する現象)」。BNIの能力を強化した作物を活用することで、生態系を乱さず生産性向上と持続性の両立が期待されている。
これまでソルガム、トウモロコシなどイネ科の作物からはBNI能力が発見されているが、コムギでは見つかっていない。そこで、野生コムギ近縁種でBNI能力の高い「オオハマニンニク」の染色体をコムギに移植することで、BNI能力を持たせた「BNI強化コムギ」を開発。
圃場での栽培実験では、土壌からの窒素取り込み能力が向上し、6割窒素施肥を削減した低窒素施肥条件でも親系統より収量が多く、品質にも差がなかった。
今後、世界の共同研究機関と共に、環境に優しく高効率なBNI強化コムギを活用した食料システムの開発を推進していく。

参考リンク:プレスリリース(国際農研)